発行日 2012年6月1日
Published Date 2012/6/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00764.2012294307
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症例は85歳男性で、陳旧性脳梗塞の既往があり、ADLは一本杖歩行であった。転倒して受傷し、人工骨頭置換術を施行したが、2ヵ月後に再転倒して左大腿骨骨幹部ステム周囲骨折が認められた。骨接合術を施行し、骨折部を整復してケーブルで固定後、遠位にロッキングスクリューを刺入した。粗線から大内転筋筋腱を電気メスにより剥離する際に多量の動脈性出血が出現し、ガーゼ圧迫で止血できたが除去後再出血を来たした。総出血量は500mlを越えてプレショック状態となり、ドパミン塩酸塩投与、濃厚赤血球輸血でバイタルサインは安定した。ケーブルおよび近位に回旋防止用のスクリューを刺入後、再度止血を試みたが出血点を同定できず、ガーゼパッキングして閉創し、コイル塞栓術による止血を行うこととした。血管造影で右大腿動脈から穿刺して造影剤漏洩部を同定し、金属コイルを用いて塞栓した。3日後にガーゼを摘出し、3ヵ月後には骨癒合を認め、一本杖歩行可能となった。
©Nankodo Co., Ltd., 2012