発行日 2008年4月1日
Published Date 2008/4/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00764.2008178574
- 有料閲覧
- 文献概要
40歳男。木工作業中に木片が右大腿内側部に刺さり受傷した。創部からの出血や周辺部の腫脹はほとんどなく、右下腿より遠位に軽度のしびれを自覚したが、知覚低下はなかった。また右膝より遠位で冷感を認めたが皮膚蒼白ではなく、右足背動脈の拍動は触知できるが減弱していた。X線では右大腿内側から大腿骨後方に細長い透亮像を認めた。血管損傷を疑い、腰椎麻酔下に緊急手術を施行した。木片は大腿動脈および大腿静脈を貫通していたが、木片の太さが血管の内径とほぼ等しく、動静脈からの出血はなかった。木片を引き抜くことは困難であったため、大腿動静脈を切離して木片を摘出した後、端端吻合した。摘出木片は太さ7mm、長さ12cmであった。術後右下腿のしびれ・冷感は消失し、右足背動脈の拍動は触知され、血流再開を認めた。
©Nankodo Co., Ltd., 2008