発行日 2009年11月1日
Published Date 2009/11/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00764.2010036360
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大腿骨頸部骨折の手術的治療を施行した90歳以上の超高齢者36例を対象として、術後の歩行能力と退院後の行き先に影響する因子について検討した。骨折型は、内側骨折11例、転子部骨折25例であった。内側骨折における歩行能力の変化については、認知症の有無にかかわらず受傷前と退院時で歩行能力に大きな変化はみられなかった。転子部骨折の歩行能力の変化については、認知症ありの場合は退院時に歩行ができなくなる例が増加し、認知症なしの場合は退院時にやや歩行能力が低下する傾向があった。受傷前の歩行能力に関し、自立歩行または介助歩行が可能であった32例について退院時の歩行再獲得率を検討した結果、内側骨折においては認知症の有無に関係なく約80%前後の再獲得率がみられ、認知症のある転子部骨折においては10%と著しく歩行能力が低下していた。退院後の行き先については、認知症ありの場合は介護施設へ、認知症なしの場合は転院する傾向があり、有意差がみられた。
©Nankodo Co., Ltd., 2009