発行日 2009年9月1日
Published Date 2009/9/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00764.2009332393
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78歳女。転倒後に左踵部痛が出現した。左アキレス腱部に硬結を触知し、単純X線像で左踵骨アキレス腱付着部を含む嘴状の骨折を認め、骨片の後縁が中枢へ転位しており、その近位部に小骨片を認めた。Boehler分類I-b型の踵骨嘴状骨折と診断して手術を計画したが、糖尿病のコントロールが必要であったため、受傷から手術まで約2週間を要した。アキレス腱内側部の縦皮切で進入したところ、上方に転位した裂離骨片を皮膚直下に認め、嘴状にとがった後縁が皮膚に突き刺さっていた。嘴状骨片を整復したところ、小骨片を伴い全層にわたり断裂したアキレス腱断端部を認め、cannulated cancellous screwとワッシャーを併用してアキレス腱付着部と嘴状骨片を同時に固定した。更に、plantaris tendonをアキレス腱実質内及び作製した踵骨骨孔に通して補強とした。術後骨片が突出し、圧迫されていた部分に皮膚潰瘍を生じた。創傷被覆材による処置で治癒したが、上皮化までに約4週間を要した。術後1週から立位訓練、3週から歩行訓練を行い、3ヵ月で骨癒合が得られ、術後1年時で可動域制限なく歩行可能である。
©Nankodo Co., Ltd., 2009