発行日 2009年9月1日
Published Date 2009/9/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00764.2009332392
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84歳女。自転車走行中に乗用車と接触し、頭部をフロントガラスに強打した。顔面全体は軽度腫脹し、頸部には自発痛・圧痛がみられ、頸椎CTにてC1前弓右側、C2椎体右側に骨折を認めた。ベッドアップ30°まで許可し、頸部を砂嚢で固定し、深部静脈血栓症予防のため弾性ストッキングを装着した。第2病日に骨折部の安定と早期離床を目的に局所麻酔下にハローベストを装着し、ベッドアップの制限をなくした。第6病日よりリハビリテーションを開始し、日常生活動作は徐々に改善したが、第26病日早朝にトイレ着席時にごく短時間の気分不良を訴えた後、急激に意識消失をきたし心肺停止状態となった。蘇生処置に反応せず、同日死亡が確認され、剖検では右肺動脈の起始部に長さ約15cmの血栓を認め、これにより右肺動脈は完全に閉塞されていた。なお、患者からの自覚的訴えは全くなく、他覚的な所見も認めなかった。
©Nankodo Co., Ltd., 2009