発行日 2009年9月1日
Published Date 2009/9/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00764.2009332394
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62歳女。右足関節痛、腫脹を主訴とした。足関節のMRIで左右ともに腱鞘滑膜炎が示唆され、右足関節鏡視下滑膜生検を施行した。滑膜の増生を認めたが軽度で、滑膜病理所見では形質細胞、リンパ球の浸潤を認め、慢性の非特異性炎症の診断であった。以上より、腫脹の主原因は関節内病変ではなく腱鞘滑膜炎由来と考え、右足腱鞘滑膜切除術を施行した。腓骨筋腱、後脛骨筋腱周囲の腱鞘滑膜の著しい増生を認めたため切除し、摘出滑膜の総重量は4.6gであった。術後2日目から両手掌、足底に皮疹が出現し、皮膚科で掌蹠膿疱症(PPP)と診断された。その後、左脚関節の疼痛、腫脹が増強したため左足腱鞘滑膜切除術を行い、摘出した滑膜重量は11.65gで、病理組織では形質細胞、好中球の浸潤を認めた。以後、両足関節の関節症性変化が出現し始めてからDMARDsを使用し、術後13年の現在、NSAIDsのみで疼痛はコントロールされているが、経年的に両足関節、距骨下関節ともに関節裂隙の狭小化や骨棘の形成がみられる。また、皮質骨の骨膜性肥厚など骨増殖性変化が著明である。
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