臨床室
踵骨裂離・嘴状骨折に対する新しいtension band wiring法を施行した1例
黒澤 尭
1
,
三谷 誠
,
藤林 功
,
森 裕之
,
尾崎 琢磨
1国立病院機構神戸医療センター 整形外科
キーワード:
X線診断
,
内固定法
,
骨ねじ
,
スプリント
,
縫合法
,
骨折-剥離
,
踵骨骨折
Keyword:
Fractures, Avulsion
,
Bone Screws
,
Fracture Fixation, Internal
,
Radiography
,
Splints
,
Suture Techniques
pp.655-657
発行日 2015年7月1日
Published Date 2015/7/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00764.2015335342
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84歳女性。慢性心不全、狭心症、高血圧の既往があった。日常生活動作は変形性膝関節症のため杖歩行自立レベルであった。今回、溝を越えようとして後方に転倒して受傷、左踵部痛が出現し歩行困難状態となったため受傷5日目に受診となった。所見では左足部全体の腫脹と左踵部の圧痛を認めるも、水疱形成や皮膚の坐滅は認められなかった。また、単純X線ならびにCTでは踵骨結節部のアキレス腱付着部に転位を伴う裂離骨折が認められ、Beavis分類type 2の嘴状骨折であった。以後、アキレス腱自体の損傷はないこいとから、アキレス腱に腱把持鉗子をかけ足関節を軽度底屈とし骨折部を整復した。更にAcutrak Screw 4/5を2本使用して踵骨底側を貫いて固定したが、スクリューの固定性は良好であったものの、骨脆弱性があると判断して、アキレス腱に糸をかけtension band wiringを追加した。その結果、術後は短下肢副子固定としリハビリテーション時のみ除去して関節可動域訓練を行なったところ、術後2週で部分荷重を開始、6週目で足底板装着下に全荷重とし、7週目に杖歩行にて自宅退院となった。尚、外来で経過観察でも骨癒合は良好で、患者は皮膚合併症を認めることなく経過した。
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