発行日 2009年8月1日
Published Date 2009/8/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00764.2009314616
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1999年6月~2005年11月に手術を施行した大腿骨転子部骨折で3ヵ月以上術後経過観察が可能であった症例をAO Proximal Femoral Nailを使用したPFN群:80例80骨折(男13例、女67例、年齢55~90歳)とGadelius Endovis B.A.を使用したEn群:33例33骨折(男8例、女25例、年齢58~93歳)に分けて比較検討した。平均手術時間はEn群47.9分、PFN群64分、手術中平均出血量は33.9mlと84.1ml、平均荷重開始時期は4.8日と7.8日でEn群が有意に良好であった。平均頸体角差はEn群3.79°、PFN群3.37°、平均ラグスクリューのスライディング量は7.7mmと4.5mmで両群間に有意差は認めなかった。術直後の骨頭内でのラグスクリューの先端位置では、En群はラグスクリューの至適位置であるX線前後像で大腿骨頭下1/3、X線軸射像で大腿骨頭中1/3に刺入される割合がPFN群に比べて少ない傾向にあった。これは手術手技の問題でガイドワイヤー付きのラグスクリューの使用が必要と考えられた。術後合併症・変形は、En群ではカットアウト6.1%、10°以上の内反変形6.1%、脳梗塞1例で、PFN群では3.8%、6.3%、肺炎1例を認め、偽関節、回旋転位、術後感染は両群とも認めなかった。以上より、Enは大腿骨転子部骨折治療に有用であると考えられた。
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