発行日 2007年5月1日
Published Date 2007/5/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00764.2007184482
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12歳女、左腰臀部痛を主訴とした。新生児黄疸、アトピー性皮膚炎の既往があった。腰痛が出現し歩行困難となり、接骨院での電気治療で軽快した。その4日後より左腰臀部痛が増悪し、発熱を伴った。入院時、疼痛のため腹臥位は困難であった。左下肢の下肢伸展挙上テストは40°で、Lasegue徴候は陽性であった。Valleixの圧痛点、Patrickテスト、pelvic compression testは左で陽性であった。血液検査では強い炎症所見を呈し、翌日の血液像では核の左方移動を認めた。股関節MRIでは左仙腸関節付近にT1で低信号、T2で高信号を示す腫瘤陰影を認めた。骨盤造影CTでもMRIと一致した部位に環状造影効果を伴う腫瘤陰影を認めた。化膿性仙腸関節炎と診断し、入院時より床上安静とし、ホスホマイシンカルシウムからセファゾリンナトリウム(CEZ)の点滴投与に変更した。第3病日に血液培養と咽頭培養からメチシリン感受性黄色ブドウ球菌が検出された。第4病日には腰臀部痛は軽快して坐位が可能となり、炎症所見も改善したためCEZを減量した。第15病日に塩酸セフカペンピボキシルの経口投与に変更した。第18病日の造影CTにて腫瘤陰影はほぼ消失していた。発症後2ヵ月、日常生活に支障はなく経過良好であった。
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