発行日 2007年5月1日
Published Date 2007/5/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00764.2007184481
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症例1(16歳女)、症例2(23歳男)。いずれも右母・示指独立運動障害を主訴とした。症例1では2歳頃より右母指の屈曲で示指の伸展ができないことを指摘されていた。初診時、母指の屈曲で示・中・環指が屈曲し、母指の屈曲状態で示指を他動伸展すると前腕末梢に痛みを生じた。手術所見では長母指屈筋腱の筋腱移行部尺側より破格腱が分離し、示指深指屈筋腱の橈側に沿って手根管内に移行していた。長母指屈筋腱を中枢に牽引すると母・示指の同時屈曲を認め、破格腱が手掌部以下で示指深指屈筋腱に移行していると推測された。破格腱を前腕末梢部で切離し、その中枢側を長母指屈筋腱に縫合した。症例2では2年前に右母指屈曲時に示指が同時に屈曲することに気づいた。手術所見では破格筋は2本の腱をもち、橈側成分は長母指屈筋に、尺側成分は示指深指屈筋に付着しており、これらを分離した。術後、いずれの症例も母指と示指の独立運動が可能となった。200例400手(男女各100例)を対象に長母指屈筋と示指深指屈筋間の破格の頻度を調査した結果、破格筋腱存在推定例は6.0%認めたが、いずれも前腕部の症状はなかった。
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