発行日 2007年5月1日
Published Date 2007/5/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00764.2007184479
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64歳男、左手関節から母指~小指の腫脹・疼痛、左環指伸展不能を主訴とした。左母指中手指節関節に魚のとげが刺さり、1週間後より腫脹してきた。前医にてステロイド投与を受けたが症状は増悪した。発症後3ヵ月、当科紹介となった。左環指は自動伸展-30°であった。非定型抗酸菌感染を疑い手術を行った。伸筋腱群は病的に増殖した滑膜と思われる硬いゼリー状の肉芽に被われ、病巣掻爬と環指総指伸筋腱再建を行った。その後、手関節屈側の著明な腫脹、中・環指のしびれ、環指の伸展不十分を認め、第2回手術を施行した。屈筋腱は病的滑膜に被われており、病巣掻爬・手根管開放を行った。また、環指総指伸筋腱が強く癒着していたため剥離し、再度再建した。後療法としてbuddy tapingして可動域訓練を行った。病理組織所見にて非定型抗酸菌感染像を認め、硝酸塩還元試験にてMycobacterium marinumが同定された。同菌感染による腱鞘滑膜炎と診断し、レボフロキサシン、リファンピシン、クラリスロマイシンによる薬物療法を行った。その後、腫脹および炎症反応は消失し、環指は自動伸展0°に回復した。
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