臨床室
非結核性抗酸菌症による手指屈筋腱腱鞘滑膜炎の1例
高北 久嗣
1
,
田島 正稔
1三重県立志摩病院 整形外科
キーワード:
Ethambutol
,
Rifampicin
,
Langhans巨細胞
,
腱鞘炎
,
再手術
,
手指外傷
,
鑑別診断
,
非結核性抗酸菌症
,
核酸ハイブリダイゼーション
,
Clarithromycin
,
Levofloxacin
,
Mycobacterium abscessus
,
屈筋腱損傷
,
類上皮肉芽腫
Keyword:
Diagnosis, Differential
,
Ethambutol
,
Finger Injuries
,
Nucleic Acid Hybridization
,
Mycobacterium Infections, Nontuberculous
,
Rifampin
,
Reoperation
,
Tenosynovitis
,
Giant Cells, Langhans
,
Clarithromycin
,
Levofloxacin
pp.1167-1170
発行日 2015年10月1日
Published Date 2015/10/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00764.2016081672
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81歳女。1ヵ月前、畑仕事中に左母指に何かが刺さり、その2日後から左手関節~手指痛が増悪した。6日前より近医にて第三世代セフェム系抗菌薬投与を受けるも症状が改善せず、当科紹介となった。臨床症状に比べ、血液上の炎症所見は乏しかったが、強い疼痛と手指の運動制限を認めたため化膿性腱鞘炎を疑い、緊急手術を行った。小指は遠位指節間(DIP)から中手指節間(MP)レベル、母指は指節間(IP)からMPレベルから進入したところ、滑膜の増生を認めたため可及的に切除し、創内にPenroseドレーン1本を留置した。病理組織学的に非特異的な炎症所見しか認めず、術後はセファゾリンナトリウム投与を継続した。術後9日目にドレーンを抜去し、一般細菌・抗酸菌培養検査へ提出した結果、非結核性抗酸菌症による手指屈筋腱腱鞘滑膜炎の診断に至った。抗菌薬をリファンピシン、エタンブトール塩酸塩、クラリスロマイシン、レボフロキサシン水和物へ変更したが、手関節部の創部状態が悪化し、再度滑膜切除を行った。最終術後8ヵ月の現在、再発の徴候は認めず、手指ROMに制限はなく、良好に経過している。
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