発行日 2011年1月1日
Published Date 2011/1/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00764.2011103822
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82歳女。誘因なく腰痛が出現し、化膿性脊椎炎の診断で抗菌薬治療を受け発熱や炎症反応は改善したが、L2・3レベルの脊柱管狭窄による馬尾障害のため歩行不能の状態が続いた。後方除圧術を行い下肢痛は消失したが、術後45日目に再燃し、X線でL3の椎体上縁の骨融解像を認めた。生検で非結核性抗酸菌PCR陽性が判明し、菌種はMycobacterium intracellulareであった。MRIでは感染罹患椎体に隣接して腹部大動脈壁の不整像を認め、血管外科へコンサルトしたところ感染性腹部大動脈瘤と診断された。血管外科医により右腋窩-大腿動脈バイパス術、動脈瘤切除を施行され、引き続きL2・3椎体を前方から掻爬し、採取した左腓骨を移植した。術後下肢痛は消失し、全身状態が改善した2週間目に後方固定術を追加し、術後2日目に硬性コルセットを着用して離床を開始した。クラリスロマイシン、レボフロキサシン内服、更にアスピリン内服を継続し、前方手術後1年4ヵ月経過して症状や感染の再燃はなく、骨癒合も良好である。
©Nankodo Co., Ltd., 2011