発行日 2003年4月1日
Published Date 2003/4/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00764.2003226056
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73歳男.左肩関節の疼痛及び腫脹を主訴とした.左肩関節痛が出現したため鍼灸院に通院していた.その後徐々に同部が腫脹し,穿刺により膿が多量に排出し,膿からメチシリン耐性黄色ブドウ球菌(MRSA)が検出された.左肩峰下に小切開を加えたところ茶褐色の膿が多量に排出されたため,ドレーンを留置し連日洗浄を行った.採取された関節液からはMRSAが検出され,塩酸バンコマイシンの点滴を開始した.しかしその後も排膿が持続し,人工透析の導入や人工血管などへの二次感染が危惧されたため,全麻下に鏡視下洗浄デブリドマンを行った.肩峰下滑液包・肩甲上腕関節に各々ドレーンを留置し,胸壁固定のまま持続洗浄を行った結果,炎症所見は速やかに消退し,洗浄液からMRSAは検出されなくなった.術後10ヵ月の現在,感染徴候は認めておらず,肩関節可動域は正常に回復しADLになんら支障はない.渉猟し得た限り,MRSAによる化膿性肩関節炎の報告は本邦では小児3例,成人3例と少なく,本症例は稀な症例と考えられた
©Nankodo Co., Ltd., 2003