発行日 2006年8月1日
Published Date 2006/8/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00764.2006302227
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56歳男.主訴は左股関節痛及び発熱で,血液及び股関節穿刺液より非チフス性Salmonella O9群が検出され,便培養ではEnterococcus speciesを認めた.以上の結果より,左化膿性股関節炎及び左大腿骨骨髄炎と診断した.抗菌薬の投与にて早期に炎症所見は改善し,3週後の関節穿刺で培養陰性となった.しかし,再度発熱し,関節切開,持続洗浄を施行した.その1週後,排液より再びSalmonella菌が検出され,カテーテル先端部より緑膿菌も認め,2回目の関節切開,持続洗浄を施行した.その後発熱,CRP共に改善したが,カテーテル先端部よりメチシリン耐性黄色ブドウ球菌(MRSA)が検出された.その後,MRIで骨髄炎像の増悪を認め,左股部皮下膿瘍よりSalmonella菌が検出され,骨頭切除,郭清,抗菌薬含有セメント骨頭の留置を行った.以降,4回にわたる穿刺培養検査で陰性,CRPも陰性が持続したため,人工股関節全置換術を施行した.術中の組織培養は陰性であった.術後8ヵ月現在,軽度の関節痛はあるが独歩可能で,感染の再燃はない
©Nankodo Co., Ltd., 2006