発行日 2004年4月1日
Published Date 2004/4/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00764.2004155467
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
症例1は67歳女で,誘因なく右股関節に違和感を覚え,次第に関節痛が増強したため受診,38℃台の発熱も認めたため入院となった.CRPが高値を示し,MRIで右股関節に関節液貯留を認め,関節液培養検査でメチシリン感受性黄色ブドウ球菌(MSSA)が検出されたことから化膿性股関節炎と診断した.発症後15日に右股関節の切開排膿を行ったあと持続洗浄を開始した.術後2ヵ月でCRPは陰性化したが,関節痛は持続し,術後17ヵ月のX線検査で変形性股関節症の進行を認めたため人工股関節全置換術を施行した.術後2年3ヵ月の現在,関節痛はなく,感染の再発も認めていない.症例2は40歳男で,誘因なく左股関節痛と関節可動域制限,37℃台の発熱が出現し近医受診,化膿性股関節炎の診断で抗菌薬(ペニシリン系,アミノグリコシド系)の投与が開始された.発症後39日,CRPがさらに上昇したため自施設へ転院,緊急手術により切開排膿,持続洗浄を行い,同日よりホスホマイシン,セフェム系抗菌薬の投与も開始した.術中採取した関節液の培養でMSSAが検出されたため抗菌薬投与は4週間継続した.発症後48日にCRPは陰性化し,術後8ヵ月の現在,関節裂隙は保たれ,感染の再発も認めていない
©Nankodo Co., Ltd., 2004