発行日 2006年8月1日
Published Date 2006/8/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00764.2006302226
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59歳女.主訴は両下肢の激痛,立位不可で,初診時,下肢深部腱反射は全て消失していた.股関節周囲筋は徒手筋力テスト(MMT)で1~3レベルの麻痺に加え,両下腿全体にも3~4レベルの筋力低下を認めた.鼡径部以下に右優位の知覚障害があり,残尿も認められ,上位腰椎部での馬尾障害と診断した.画像所見より転移性膿瘍を含めた硬膜外膿瘍を疑い緊急手術を行った.硬膜背側を軽く触れると,硬い腫瘤が触知され,術中エコーを施行した.硬膜管内に髄液とは異なった不均一な腱瘤陰影を認め,硬膜内病変が存在すると判断し,硬膜を縦切開し硬膜内操作を行った.馬尾が腹側から背側に向けて圧迫されており,馬尾を分けて馬尾腹側を観察すると黄白色の腫瘤を認めた.腫瘤表面はクモ膜に覆われており,腫瘤は軟骨終板を含んだ綿維輪で構成され,これらを切除した.術後両下肢痛は消失し,術後3週で支持歩行が可能となった.6ヵ月経過現在,下肢筋力は全て正常に回復し,右下肢に軽度のしびれが遺残するのみである
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