発行日 2003年9月1日
Published Date 2003/9/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00764.2004020902
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68歳男.右股関節痛を主訴とした.右股関節単純X線像では末期変形性股関節症の所見であった.右股関節穿刺を行い,培養でメチシリン耐性黄色ブドウ球菌(MSSA)を検出し,化膿性股関節炎の診断で病巣掻爬,持続洗浄を施行した.股関節痛は軽減したが,背部痛と両下肢不全麻痺が出現し,胸椎MRI所見より,化膿性脊椎炎に伴う胸椎硬膜外腫瘍と診断した.Th5~Th8椎弓切除による後方除圧,病巣掻爬を施行し,培養でMSSAを検出した.背部痛,麻痺症状は改善したが,X線像で右大腿骨頭の圧潰,上外方偏位が進行し,右股関節の支持性が低下したため人工股関節全置換術を施行した.約3ヵ月後,背部痛,両下肢痙性麻痺が急激に悪化し,立位困難となった.MRI所見より,椎体破壊による脊髄症の悪化と考え,後方インストゥルメンテーション,前方除圧固定術を施行した.術後,症状は改善したが,約1ヵ月に背部痛,発熱,背部巣からの排膿がみられ,培養でメチシリン耐性黄色ブドウ球菌(MRSA)が検出された.インプラント抜去,持続洗浄にて感染は沈静化した.退院後10ヵ月の現在,感染の再燃はみられない
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