発行日 2006年3月1日
Published Date 2006/3/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00764.2006153660
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症例1(49歳女).統合失調症,糖尿病の既往がある.外傷などの誘因なく歩行時に両股部の恥骨周辺疼痛を自覚し,単純X線像における恥骨の骨融解像と高アルカリホスファターゼ(ALP)血症により転移性骨腫瘍及び病的骨折が疑われた.動作時痛が強く歩行は不能であった.恥骨統合周囲に強い圧痛を認めたが発赤,熱感はなかった.骨シンチグラムでは恥骨上下枝と右仙骨翼部,L1に以上集積を認めた.転移性骨腫瘍の精査を行ったが原発巣は不明であった.骨代謝マーカーは高回転型の骨代謝を示した.発症後2ヵ月で骨溶解性病変部に骨硬化像を認め,発症後4ヵ月で骨硬化像の拡大とともに症状は軽快し,恥骨結合周囲の圧痛も消失した.症状の経過と特徴的な画像の変化によりpubic osteolysisと診断された.症例2(55歳女).糖尿病,変形性腰椎の既往がある.特に外傷などの誘因なく左股部痛を自覚した.歩容は疼痛のために逃避性跛行を呈していた.症例1と同様の検査所見を呈し,特徴的な経過を辿り同症と診断された
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