発行日 2006年3月1日
Published Date 2006/3/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00764.2006153659
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75歳男.左環指の爪を深く切りすぎ,環指末接部が腫脹したため,骨髄炎の診断で切開処置を受けた.しかし,腫脹は軽減せず,切開創も治癒せず出血が持続するため受診した.左環指末節部は腫脹,発赤し,熱感,圧痛,波動を認めた.創部断端からは赤褐色調の排出物が認められたため,細菌培養検査に加え病理組織標本を提出した.入院時の胸部単純X線像にて右中肺野腫瘍陰影を認め,胸部CTにおいても同レベルに肺癌と思われる腫瘍病変を認めた.以上より,肺癌の末節骨転移と判断し,中手指節関節での環指切断術を行った.病理組織では,低分化型の扁平上皮癌であり,皮膚との連続性はなく転移性病変との診断であった.手術後疼痛は消失し,退院後は内科にて肺癌に対する化学療法が行われていたが,術後11ヵ月で死亡した
©Nankodo Co., Ltd., 2006