発行日 2002年11月1日
Published Date 2002/11/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00764.2003099144
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70歳女.左股関節部に疼痛を自覚し,次第に増悪し歩行困難となった.単純X線像で左恥骨を中心とした骨溶解像及び仙骨・左腸骨に骨折像を認め,入院となった.単純X線像及びCTからpubic osteolysisを念頭におき,恥骨部の病変以外に骨盤内に多発する骨折があることから,転移性骨腫瘍を第一に考えて検査を行った.しかし,全身のスクリーニング検査では,明らかな原発巣と考えられる病変は認めなかった.安静臥床,ビタミンD製剤の投与による保存的治療によって次第に疼痛は軽減した.約2ヵ月に一本杖歩行が可能となり退院した.現在,外来で約6ヵ月間経過観察中であるが,骨折部の自発痛,圧痛は殆どなく,単純X線像,CTで各骨折部には骨硬化像が認められた.臨床経過から,pubic osteolysisを伴った仙骨・腸骨部の脆弱性骨折と診断した
©Nankodo Co., Ltd., 2002