発行日 2011年4月1日
Published Date 2011/4/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00764.2011186416
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71歳女。右肩関節を打撲後に強い自発痛・可動時痛が出現し、近医MRIで腱板断裂を指摘され手術治療目的で当院受診となった。腱板断裂による疼痛と機能障害を認めたためスーチャーアンカーを用いた関節鏡視下修復術を行うこととし、患者の既往に金属および化学繊維アレルギーがあることから、ポリ-L-乳酸吸収性アンカー、絹性縫合糸を使用して二重縫合法で手術を行った。術後2ヵ月に右肩の可動痛・自発痛と発赤、両側顔面、頸部や手に皮膚炎が出現し、術後3ヵ月に精査を行ったところ、X線およびCTで大結節の広範囲骨透亮像を認め、血液検査では炎症反応値が上昇していた。薬物治療で改善しないため術後4ヵ月目に関節鏡検査を行い、肩峰下に高度の滑膜増生を認め、その部分の滑膜切除を行うと腱板は再断裂していた。大結節部に充満していた滑膜を切除すると大きな空洞が形成され、その周辺に絹性縫合糸摩耗片や吸収性アンカーが散在していたため摘出した。術後症状は改善して血液検査も正常化し、再手術後10ヵ月のMRIでは大結節部に組織が充満しているような所見を認めた。再手術後1年経過で外転、外旋筋力低下は認めるものの日常生活に支障はない。
©Nankodo Co., Ltd., 2011