発行日 2005年9月1日
Published Date 2005/9/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00764.2006004696
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69歳女.主訴は歩行困難及び左膝関節痛.両下肢は共に内転・外旋位にて固定され,右下肢が左下肢の前方にあり膝関節部で交叉していた.股関節の可動性が殆どないため膝を伸展することで右下肢を前方にすすめ,次に左下肢を右膝が屈曲するまで前に進めることで歩幅を獲得していた.歩幅は非常に小さく不安定で,歩行速度も遅かった.両股関節共に著明なROM制限を認め,術前の日整会股関節機能判定基準(JOAスコア)は17点であった.単純X線所見,CT所見より歩行困難,左膝関節痛の原因は両股関節異常肢位によるものと考え,人工股関節全置換術を施行した.術後3週から部分荷重を開始し,6週で全荷重を許可した.術後5年現在,両下肢交叉変形の再発はなく,ROMは攻善し,歩行時に軽度のTrendelenburg跛行を認めるが一本杖にて歩行可能である.最終調査時の単純X線正面像では大腿骨側のストレスシールディング像が存在するものの弛みはなく,術後JOAスコアは合計67点へと改善した
©Nankodo Co., Ltd., 2005