発行日 2005年9月1日
Published Date 2005/9/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00764.2006004697
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5歳男.先天性無痛無汗症であり,4歳4ヵ月時に明らかな外傷なく左脛腓骨骨折を受傷し,ギプスにて保存的に治癒した.5歳3ヵ月時に外傷なく右脛骨骨折を受傷し,保存的治療にて全荷重歩行可能となったが,19日後に歩行困難となり,右大腿部の腫脹と変形が出現した.単純X線像上,右大腿骨骨幹部に斜骨折を認め,骨折部周辺には仮骨形成を認め,右脛骨では骨癒合部に約10°の後方凸変形を認めた.脛腓骨骨折治療目的のギプス近位端における大腿骨骨幹部疲労骨折が受傷前に存在し,疼痛の自覚がないため過大な荷重が負荷され完全骨折となったと判断した.受傷直後大腿~足部までのギプスシーネを装着したが,精神発達遅延や多動があり局所の安静保持が困難で,腓骨神経麻痺を合併した.保存的治療は不可能と判断し,全身麻酔下に観血的骨接合術を行った.術後はベッド上安静を指示したが,術後早期からギプス固定の状態で度々立ち上がっており,術後2週で単純X線像上骨折部に豊富な仮骨形成と,Kirschner鋼線の軽度の逸脱を認めた.臀部にはKirschner鋼線の逸脱による皮膚障害を認めた.術後3週で全身麻酔下にギプスを巻き直し,術後8週で単純X線像上約2.5cmの短縮を認めたが,骨癒合が得られたと判断しギプスを除去した.術後9週,腓骨神経麻痺も改善し,特に合併症はない
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