発行日 2003年5月1日
Published Date 2003/5/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00764.2003252307
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78歳男.両上肢脱力感,両下肢の痺れを主訴とした.左胸部から背部の帯状疱疹後,疼痛コントロールのため2度にわたって胸椎部持続硬膜外カテーテルが留置された.再留置後,発熱,カテーテル挿入部に発赤・膿を認めた.カテーテル培養検査で緑膿菌が検出され,その後主訴が出現した.MRI所見では,C5-C6レベルで脊髄が前方から膿と思われる病巣に圧迫されていたが,カテーテル留置部には明らかな異常は認められなかった.胸椎カテーテル挿入部に起こった感染が,血行性に頸椎椎体に生じた可能性が考えられた.進行性麻痺改善のため頸椎前方固定術を施行し,術前はFrankel分類Aであったが,現在はFrankel分類Dまで回復した.本邦における過去10年間の持続硬膜外ブロックによる感染例で,化膿性脊椎炎の報告は3例と稀である.さらに,本例のようにカテーテル挿入部位から離れた部位での化膿性脊椎炎の報告は1例のみであった
©Nankodo Co., Ltd., 2003