発行日 2003年5月1日
Published Date 2003/5/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00764.2003252308
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
症例1は29歳女で,腰痛を主訴とした.手掌・足底に限局した小膿疱を認め,掌蹠膿疱症と診断された.画像所見,組織所見等により,腰椎の病変はこれに伴う脊髄炎と考えられ,synovitis-acne-pustulosis-hyperostosis-osteomylitis(SAPHO) syndromeの診断基準を満たしていた.症例2は66歳女で,左鎖骨部の腫脹を主訴とした.皮膚病変は伴わないが,胸肋鎖骨肥厚症を認めた.組織診断,細菌学的検査によって感染性疾患は否定され,単純X線像でも瀰漫性特発性骨肥厚症は除外されたことにより,SAPHO syndromeによる骨炎と診断した.両例ともに,線維性肉芽組織の増生と炎症細胞の浸潤を認め,病期後半の組織所見によく合致していた.治療は,疼痛に対して非ステロイド性抗炎症薬を投与し,両例とも約2ヵ月を経て,臨床症状は緩解した.症例1では腰痛が初発症状であったが,脊椎炎を初発の骨関節症状とする例も稀ではなく,腰痛疾患の鑑別に本症も念頭に置く必要があると考えられた
©Nankodo Co., Ltd., 2003