発行日 2016年12月1日
Published Date 2016/12/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00393.2017128011
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72歳男性。解離性胸部大動脈瘤に対する上行大動脈置換術の施行後より上腹部の膨隆を自覚していたが放置していた。だが今回、徐々に膨隆が大きくなり、腹痛が出現したため救急外来となった。受診時、腹部CTでは剣状突起周囲に6×10cmのヘルニア門が認められ、脱出腸管は非常に長いS状結腸であった。嵌頓には至っていないが増大傾向であることから、待機的に腹腔鏡下ヘルニア修復術を施行することとなった。手術は左右上腹部の鎖骨中線上に5mmポートを留置後、肝鎌状間膜を切離し、ヘルニア門を明らかにした。メッシュ展開後、肋弓下より尾側にはアブソーバータックを用いてダブルクラウン法で固定し、肋弓下より頭側ではタッカーによる固定が困難な肋骨・横隔膜に対し3-0バイクリル糸を用いて2cm間隔程度で縫合固定を行った。術後経過は良好で、経口非ステロイド性抗炎症薬の内服で疼痛はコントロールでき、術後5日目に退院となった。
©Nankodo Co., Ltd., 2016