HALSの意義とテクニック
HALSによる肝胆膵脾の手術 HALSを応用した膵臓手術
三澤 健之
1
,
矢永 勝彦
1東京慈恵会医科大学 外科
キーワード:
術中モニタリング
,
超音波診断
,
膵切除
,
膵臓腫瘍
,
脾臓摘出術
,
手術時体位
,
用手補助腹腔鏡下手術
,
側臥位
Keyword:
Pancreatectomy
,
Pancreatic Neoplasms
,
Splenectomy
,
Ultrasonography
,
Monitoring, Intraoperative
,
Hand-Assisted Laparoscopy
pp.964-972
発行日 2016年9月1日
Published Date 2016/9/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00393.2016376919
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本稿ではhand-assisted laparoscopic surgery(HALS)を用いた膵尾側切除(脾温存および脾合併切除の場合)の要点について,step-by-stepに解説する.HALSでは術者の左手指5本を自由に使えるため,トロカールはカメラポートのほかに,術者右手用,助手用の計3本ですむ.脾温存手術では脾静脈からの小出血に対する処置がポイントになるが,HALSは手指によるすみやかな圧迫止血が可能であり,もっとも効果的である.止血には補助的にアルゴンビームコアギュレータやソフト凝固などを用いる.開腹手術と同じように術者の片手を使えるうえに,鏡視下手術の拡大視効果も得られるため,膵のトンネリング操作や膵実質切離に用いる自動縫合器の誘導といった繊細な手技も容易に行うことができる.脾合併切除においては,開腹手術や完全鏡視下手術ではとかくブラインドになりやすい脾周囲の操作も,用手的な術野展開によりストレスなく,きわめて安全に行うことができる.深い術野で行われるデリケートな膵手術においては,特にHALSの利点は多いと考える.
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