発行日 2016年4月1日
Published Date 2016/4/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00393.2016316475
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78歳女性。約10年前に大腸癌にて結腸切除術の既往があった。今回、夕食後に心窩部痛が出現し、夜救急搬送された。受診時、上腹部には正中切開の手術瘢痕を認め、腹部は平坦・軟で、心窩部には自発痛と軽度の圧痛が認められるも、腹膜刺激症状は認められなかった。一方、胸部と腹部の単純X線像では腹腔内には遊離ガス像、小腸ガス像などの異常はみられなかったものの、腹部単純CTでは腸間膜動静脈と空腸が渦巻き状配置をとり、腸間膜脂肪織の混濁、腸間膜静脈の拡張があり、浮腫・血管障害が疑われた。入院後、腹部症状や所見の悪化はなかったが、CT所見から小腸軸捻転症と診断し、第2病日目に手術が施行された。その結果、術中所見では開腹創近傍に大網が軽度癒着しており、漿液性の腹水が貯留し、創直下の小腸はうっ血して軽度の拡張を呈していた。更に右側腹部では小腸と腹壁の間に索状の癒着ほか、結腸切除後に右上腹部に位置していた回盲部の間膜にはTreitz靱帯直下の空腸が癒着し、その遠位側の空腸にも間膜癒着が認め、これらの癒着を軸として小腸が捻転していた。そこで、癒着を剥離し、捻転解除術を施行した結果、捻転解除後、腸管の色調は回復した。尚、創感染を来したが軽快し、患者は術後28病日目に退院となった。
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