臨床と研究
90歳代超高齢者における消化器外科緊急手術例の検討
石部 良平
1
,
中薗 俊博
,
山下 健太郎
,
土持 雅昭
1川内市医師会立市民病院 外科
キーワード:
大腸疾患
,
消化器外科
,
認知症
,
腸穿孔
,
院内死亡率
,
後向き研究
,
年齢因子
,
80歳以上高齢者
,
緊急手術
,
手術時間
Keyword:
Age Factors
,
Aged, 80 and over
,
Dementia
,
Intestinal Perforation
,
Retrospective Studies
,
Digestive System Surgical Procedures
,
Hospital Mortality
,
Operative Time
pp.503-507
発行日 2016年5月1日
Published Date 2016/5/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00393.2016298053
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90歳代の超高齢者における消化器外科緊急手術症例33例について検討した。その結果、1)90歳代の緊急手術率は53.2%と、80歳代の29.4%と比べ有意に高かった。また、90歳代の在院死亡率は34.2%と、80歳代18.2%に比べ、高い傾向にあった。2)90歳代の緊急手術例を生存群25例と死亡群8例に分け比較したところ、死亡群は生存群と比べ、手術直前のASA-PSが有意に高かった。3)前期の5年間、後期の5年間で疾患を比較すると、前期ではヘルニアの嵌頓、絞扼性イレウス、胃内異物などの比較的軽症例が大半を占めていたが、後期では前期で少なかった糞便性腹膜炎が増加し、その5例中3例が死亡していた。一方、前期でみられなかった急性上腸間膜動脈閉塞症が2例にみられ、うち1例は血栓の進展で死亡していた。4)高齢者に多く、重篤な疾患の代表である大腸穿孔および糞便性腹膜炎を年齢別に検討すると、その在院死亡率は90歳代で80%と、それ以下の年齢層の死亡率を大きく上回っていた。
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