発行日 2016年2月1日
Published Date 2016/2/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00393.2016139115
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71歳男。直腸癌術後4日目に麻痺性イレウスおよび排尿機能障害を認めた。禁食にて腹部症状は改善し、排尿機能障害に対して術後15日目からdistigmine bromideの投与を開始した。術後16日目より腹痛、嘔吐、頭痛、徐脈、発汗が著明となり、症状出現から9時間で口腔内分泌物多量のため低酸素血症、意識障害を呈した。服用歴および臨床症状、血清ChEの異常低値から、distigmine bromideによるコリン作動性クリーゼと診断し、ICUにて人工呼吸器管理を開始したが症状は改善せず、さらに中毒性巨大結腸症を併発した。発症3日目に透視下大腸内視鏡による経人工肛門コロレクタルチューブを挿入し、減圧を図った。抗生物質はMEPMを使用し、後日排液培養からEscherichia coliと多剤耐性Enterobacter cloacaeが同定された。挿入5日目には循環動態が安定し、クリーゼ発症後10日目に一般病棟に移り、32日目に軽快退院となった。
©Nankodo Co., Ltd., 2016