発行日 2008年1月1日
Published Date 2008/1/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00393.2008119508
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症例は88歳女、意識レベルが低下し救急搬送された。少量の下血を認めたため大腸内視鏡検査を行い、直腸癌と診断、手術を施行した。開腹所見により無回転型腸回転異常症(以下A)の存在が判明し、直腸切除術に加えて虫垂切除を行った。術後経過は良好で、2年後の現在まで無再発生存中である。成人期に他疾患で発見されたAについて文献検索を行ったところ、島貫・田村らが1956~1998年の報告例119例をまとめており、それによると発見年齢は16~89歳(平均42歳)、男女比は76:42(不明1例)と男性の比率が高かった。A発見の契機となった他疾患の内訳は虫垂炎が最も多く、次いで大腸癌、胃癌の順であった。Aに大腸癌を合併した本邦報告例は検索しえた限り自験例を含めて34例あり、男性22例、女性12例、年齢22~88歳(平均66歳)で、診断方法は下部消化管内視鏡21例、下部消化管造影8例、CTまたは術中診断5例あった。
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