発行日 2012年3月1日
Published Date 2012/3/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00974.2012175501
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88歳女。高血圧と排尿障害でamlodipine 5mg、furosemide 20mg、五苓散の投与を受け、1ヵ月前からdistigmine bromide 5mgが開始されていた。水溶性下痢、嘔気が出現し、呼吸困難を伴うようになり、外来で処理検査中に全身けいれんと意識障害を来たし入院となった。徐脈、縮瞳、腎機能障害を認め、入院翌日の採血でコリンエステラーゼが9IU/Lと著明低値が判明した。atropine sulfateを反復投与し、コリンエステラーゼ値の回復、縮瞳の回復、徐脈を含めた全身状態の改善が得られた。有機リン中毒は否定され、distigmine bromideがコリンエステラーゼ阻害薬であることから、これによるコリン作動性クリーゼと診断された。全身状態の回復と共に入院当初に認めたBUNとクレアチニン値の異常は正常化し、排尿障害に対してはアルファ遮断薬と間欠的自己導尿で対応した。
©Nankodo Co., Ltd., 2012