発行日 2008年5月1日
Published Date 2008/5/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00393.2008196516
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77歳女。主訴は便通不整であった。占拠部位Rb、長軸径4.5cm、短軸径6cmの1型直腸癌に対する切除術を施行し、下腸間膜動脈系リンパ節郭清のため上直腸動脈をその起始部で切離し、両側骨盤神経叢を温存して側方郭清を加えた。術後10ヵ月時の腹部超音波検査で腹部大動脈分岐部左縁に2cm径の無エコー、ほぼ球形の腫瘤像の出現を認め、CT・MRIでは嚢胞様所見を呈していた。術後1年8ヵ月時、腫瘤は増大してCA19-9上昇を伴ったため、再発の可能性が高いと考えたが、手術の同意は得られず経過観察のみとなった。術後6年3ヵ月時に画像上嚢胞部分は少なくなり充実性の腫瘤像を認め、その後下大静脈血栓から肺血栓を発症し、癌性胸膜炎、呼吸不全を呈して術後6年8ヵ月に死亡した。剖検は得られず組織学的証明はできなかったが、経過から嚢胞様腫瘤は直腸癌の再発と判断した。
©Nankodo Co., Ltd., 2008