発行日 2011年3月1日
Published Date 2011/3/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00393.2011177988
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52歳男。患者は下痢を主訴とし、直腸S状部にBorrmann II型腫瘍を認め、高位前方切除術およびD3リンパ節郭清が施行された。しかし、術後4日目に経口摂取を開始したものの、ドレーンから乳白色の排液を認め、腹水検査ではトリグリセリトの高値がみられた。以後、術後乳び腹水と診断され、保存的治療が行なわれるも効果はなく、術後7日目からはoctreotide acetateの皮下注射を200μg/日で開始した。その結果、翌日から排液量は劇的に減少し、性状も漿液性へと変化した。更に術後10日目には経口摂取を開始したが乳び腹水の再発はなく、患者は術後20日目に退院となった。尚、検索した限り、成人の術後乳び腹水は39例の報告があるが、そのうち下部消化管手術後の乳び腹水は本症例を含めて3例のみと稀であった。
©Nankodo Co., Ltd., 2011