発行日 2015年10月1日
Published Date 2015/10/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00393.2016019429
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57歳女。主訴は健診で指摘された膵体部前面の嚢胞性腫瘤であった。腹部ダイナミックCTでは、膵体部前面・胃後壁・肝外側区域背面に囲まれた空間に嚢胞性病変を認め、6年間で30mm大から48mm大へ増大した。嚢胞はMRCPのT2強調像で高信号を呈し、内部に隔壁を認め2房性構造を有していたが、膵・胆管との交通は描出されなかった。嚢胞の増大傾向から手術適応と判断した。腹腔鏡下に網嚢を開放すると、小網に二つに分葉した嚢胞性病変を認め、嚢胞と胃・膵・肝との連続性は認めなかった。小網原発嚢胞と判断して腹腔鏡下小網嚢胞切除術を行った。病理組織学的にHE染色は嚢胞内腔面に異型の乏しい被覆細胞が単層に配列し、免疫染色ではトロンボモジュリンに陽性であり、慢性炎症に伴う腹膜中皮嚢胞と診断した。
©Nankodo Co., Ltd., 2015