発行日 2004年7月1日
Published Date 2004/7/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00393.2004272427
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
70歳女.右下腹部痛,発熱を主訴とした.以前から右鼠径部の膨隆を自覚していたが,痛みがなく放置していた.右側腹部から下腹部にかけての著明な圧痛と反跳痛を認めたが,消化器症状はなかった.圧痛の最強点はMcBurneyの圧痛点より頭側にあり,鼠径部の圧痛は認めなかった.腹部単純X線所見で,多発する大腸憩室と軽度小腸ガス像を認めたが,鏡面像や腹腔内遊離ガス像はなかった.CT所見で右中下腹部に高吸収部中心に様々な吸収域からなる層状渦巻状構造を認めた.右鼠径ヘルニアも認めた.急性虫垂炎やS状結腸憩室穿孔による急性腹膜炎等を鑑別に入れ,急性腹症として開腹術を施行した.結腸,小腸に異常はなく,右側腹部に壊死した大網を認めた.大網は周囲臓器との癒着はなく,時計方向に約4回捻転し,その末が壊死して内鼠径輪にはまりこんでいた.鼠径ヘルニアによる続発大網捻転症と診断し,大網を捻転部から中枢側出切除し,ヘルニア修復術を施行した
©Nankodo Co., Ltd., 2004