発行日 2016年5月1日
Published Date 2016/5/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00393.2016298057
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41歳女性。上腹部痛、下痢、嘔吐を主訴に近医を受診、小腸ガスの貯留を指摘され、イレウスの疑いで、はじめ著者らの施設にある消化器内科へ紹介されたが、造影CTで腹腔内左側の小腸の軽度拡張、腹水貯留、下行結腸外側の腫瘤を認め、発症5日目に加療目的で消化器外科へ受診となった。腹部造影CTより大網腫瘤が考えられたが、婦人科受診では悪性所見は認めず、症状も軽快したため、1ヵ月後に待機的に単孔式腹腔鏡下手術を施行した。腹腔鏡所見では左下腹部の大網に35×20mm大の腫瘤が認められ、同腫瘤とS状結腸との間には索状物があり、その背面で約30cm長の小腸が外側へ嵌入し、内ヘルニア様になっていた。そこで、嵌入した小腸を還納後、超音波凝固切開装置で索状物を切離し、腫瘤を摘出した。その結果、病理組織学的には腸管外アニサキス症による大網腫瘤であった。尚、術後経過は良好で、患者は第3病日目に退院、問題なく経過している。
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