発行日 2013年12月1日
Published Date 2013/12/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00393.2014042095
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症例は83歳男性で、黒色便の継続と突然の意識消失発作が出現し、近医にて貧血を認めて紹介入院した。検査でHb 9.4g/dlの低色素性貧血、軽度の炎症所見を認めた。上部内視鏡で幽門輪周囲にStage H1~H2の多発性線状潰瘍を認めたが、出血性病変はなかった。下部内視鏡では回盲部から直腸まで出血性病変は認めなかった。造影CTでTreitz靱帯から肛門側空腸内腔に4×2cm大の辺縁明瞭で内部均一な造影効果のない卵円形の低吸収腫瘤を認め、CT値は脂肪濃度と一致した。小腸造影で同部位に表面平滑で可動性良好な卵円形の陰影欠損を認めた。再度のダブルバルーンによる上部内視鏡検査では、十二指腸は出血とファイバー通過不能で腫瘤観察はできず、出血性空腸脂肪腫の診断で開腹下に切除を行った。術中十二指腸下行部から発生した有茎性腫瘤と判断し、腫瘍基部の十二指腸壁を円形に全層切除して腫瘍を摘出した。病理診断は十二指腸脂肪腫であった。
©Nankodo Co., Ltd., 2013