発行日 2011年1月1日
Published Date 2011/1/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00393.2011111347
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66歳男。心窩部痛を主訴とした。腹部CTで十二指腸下行脚から水平脚の移行部にかけて壁肥厚と下大静脈との間にリンパ節腫大を認め、上部消化管造影では十二指腸下行脚の隆起性病変と狭窄を認めた。上部消化管内視鏡では、Vater乳頭部より肛門側に全周性の白色隆起性病変を認めた。膵頭十二指腸切除術とChild変法再建を施行し、切除標本で十二指腸下行脚に全周性、境界明瞭、腹側に潰瘍を伴う2型腫瘍を認め、病理所見は高~中分化腺癌で深達度ss、膵臓への浸潤はなく、No.13、No.14a、No.14b、No.14dへのリンパ節転移を認めた。術後30日に退院したが、膵下縁に膿瘍を形成したため術後35日に再入院となり、保存的治療で軽快退院した。リンパ節転移陽性のため術後補助化学療法としてS-1内服を追加し、副作用が出現したため6ヵ月で内服を中止したが、術後1年2ヵ月の現在、無再発経過中である。
©Nankodo Co., Ltd., 2011