発行日 2004年10月1日
Published Date 2004/10/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00393.2005007516
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70歳男.右季肋部痛を主訴とした.上部消化管内視鏡で上十二指腸角から十二指腸下行脚にかけて周堤を伴う陥凹性病変を認め,同部位の生検でgroup V,adenocarcinomaの結果であった.また,低緊張十二指腸造影で十二指腸下行脚Vater乳頭対側に辺縁不整な陰影欠損像を認めた.胆石症と診断したが,術前精査中に新たに進行十二指腸癌を発見したため,膵頭十二指腸切除術とリンパ節郭清を施行した.病理組織学的所見はwell differentiated adenocarcinoma,深達度ssで,膵島部および漿膜下リンパ節に一部浸潤を認めた.脈管侵襲はly1,v1であり,リンパ節転移は乳頭部癌取扱い規約でいえば,3群リンパ節であるNo.17の膵頭前部リンパ節に転移を認めた.術後は順調に経過し,6病日より食事を開始,28病日に膵管チューブを抜去した.また軽度の貧血を認めたため鉄剤投与を行い,貧血の改善後,術後67病日に退院となった.術後7年目の現在,転移や再発は認めていない
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