発行日 2003年6月1日
Published Date 2003/6/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00393.2003304851
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58歳女.血尿,便秘および腹部膨満感を主訴とした.入院時検査所見,注腸造影,骨盤部CT,腹部CT,経静脈的尿路造影所見より,直腸癌および左腎盂腫瘍と診断し,左腎尿管全摘,3群リンパ節郭清を伴う直腸低位前方切除を施行した.貧血が高度であり,尿路出血に対する早急かつ確実な処置が必要であったこと,直腸癌による狭窄症状が強く直腸癌に対しても早急な処置が必要であったこと,腎機能が良好であったこと,同一切開創での手術が可能であったことにより同時切除を選択した.結果的に,左腎盂腫瘍は良性乳頭腫であり,悪性腫瘍を思わせた経静脈的尿路造影所見は左腎盂内の凝結塊によるものと考えられた.自験例においては,直腸癌による狭窄症状が強く手術が急がれたため,腎盂腫瘍に対する内視鏡を含む十分な術前検索は不可能であったが,乳頭腫の術前診断がなされていれば,腎を温存する術式も選択し得たと考えられた
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