腹膜悪性腫瘍 転移性腹膜腫瘍の治療
腹膜播種性転移に対する腹腔内温熱化学療法(HIPEC)
村田 聡
1
,
山口 剛
,
貝田 佐知子
,
赤堀 浩也
,
清水 智治
,
塩見 尚礼
,
山本 寛
,
谷 眞至
1滋賀医科大学 外科
キーワード:
胃腫瘍
,
温熱療法
,
腫瘍局所灌流療法
,
抗腫瘍剤
,
腫瘍播種
,
膵臓腫瘍
,
大腸腫瘍
,
腹膜腫瘍
,
卵巣腫瘍
,
集学的治療
,
治療成績
,
細胞減量手術
Keyword:
Antineoplastic Agents
,
Combined Modality Therapy
,
Hyperthermia, Induced
,
Neoplasm Seeding
,
Ovarian Neoplasms
,
Pancreatic Neoplasms
,
Peritoneal Neoplasms
,
Chemotherapy, Cancer, Regional Perfusion
,
Stomach Neoplasms
,
Colorectal Neoplasms
,
Treatment Outcome
,
Cytoreduction Surgical Procedures
pp.1140-1147
発行日 2015年10月1日
Published Date 2015/10/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00393.2015380971
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癌治療において,腹膜播種性転移はもっとも難治性の病態の一つにあげられる.近年この腹膜転移は,腫瘍減量手術(CRS)と腹腔内温熱化学療法(HIPEC)により,長期生存も期待できる臨床試験結果が欧米を中心に報告されている.特に腹膜偽粘液腫や腹膜中皮腫は,治癒率も高く画期的な治療効果を上げている.また,大腸癌や卵巣癌の腹膜転移も良好に治療できることがわかってきた.さらに胃癌や膵癌では,治癒手術後の腹膜再発予防にHIPECが効果をみせている.最難治の病から治癒を勝ちとるための必須条件は,完全腫瘍切除をしたうえでHIPECを併用することであるといえる.ただし,腹膜転移の程度によりCRS+HIPECは高侵襲治療となり,重篤な合併症を引き起こすこともある.適応の選択は今後の重要な課題である.
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