消化器癌腹膜播種の最新知見
腹腔内遊離癌細胞の検出
村田 聡
1
,
谷 眞至
1滋賀医科大学医学部附属病院 腫瘍センター
キーワード:
胃腫瘍
,
胃切除
,
危険因子
,
細胞診
,
術後合併症
,
腫瘍播種
,
膵臓腫瘍
,
大腸腫瘍
,
腹水
,
腹膜腫瘍
,
EBM
,
腹腔洗浄
,
RT-PCR法
,
腹腔
,
微小転移
Keyword:
Ascitic Fluid
,
Cytodiagnosis
,
Gastrectomy
,
Neoplasm Seeding
,
Pancreatic Neoplasms
,
Risk Factors
,
Peritoneal Lavage
,
Peritoneal Neoplasms
,
Postoperative Complications
,
Stomach Neoplasms
,
Colorectal Neoplasms
,
Evidence-Based Medicine
,
Reverse Transcriptase Polymerase Chain Reaction
,
Abdominal Cavity
,
Neoplasm Micrometastasis
pp.907-914
発行日 2017年10月1日
Published Date 2017/10/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00393.2017380354
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腹腔内遊離癌細胞の発生は,難治性の腹膜播種性転移の初期病態と考えられている.腹腔内遊離癌細胞検出は,胃癌では進行度分類のほか手術適応の決定や予後の推定に用いられ,臨床的意義が高い.近年,転移能を有する癌細胞が癌手術中に散布されることが証明されるようになり,術中の腹腔内遊離癌細胞散布が,術後腹膜再発の重要な要因であるとする考え方も広まってきている.このような考えから,腹膜播種性再発の治療ターゲットを腹膜播種性腫瘍から腹腔内遊離癌細胞へ,そして同時に,術後治療から術前および術中治療へとシフトする取り組みがみられる.術中の腹腔内遊離癌細胞の鋭敏で迅速な検出法の開発が,術中治療も含めた腹膜転移に対する新たな治療戦略を構築する一つの鍵となるであろう.
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