発行日 2017年3月1日
Published Date 2017/3/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00393.2017135892
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66歳男。右鼠径部腫大を主訴とした。右鼠径ヘルニア根治術の際、ヘルニア嚢にゼリー状の成分を持つ嚢胞状の腫瘤を確認し、術後6ヵ月のCTで虫垂の嚢胞状腫大と腫瘤周囲、骨盤底および肝表面に少量の腹水を認めた。虫垂原発の腹膜偽粘液腫(PMP)を疑い開腹したところ、約10cmまで腫大した虫垂と右側腹部から骨盤底にかけてゼラチン様の腹水を多量に認め、回盲部切除と術中腹腔内洗浄を行った。虫垂は先端が穿孔しており、病理組織学的所見では虫垂内腔は粘液で満たされていたが、内腔面に明らかな悪性像を認めないことから、最終診断はlow grade mucinous neoplasmによる虫垂原発PMPとした。抗腫瘍薬は投与せずに経過観察しているが、術後4年半経過現在、再発は認めていない。
©Nankodo Co., Ltd., 2017