発行日 2015年8月1日
Published Date 2015/8/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00393.2015339727
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68歳男。心窩部痛、嘔吐を主訴とした。血液検査所見では軽度の貧血を認めるのみであったが、上部消化管内視鏡所見では胃角部小彎後壁より発生した亜有茎性腫瘤が十二指腸に嵌頓して還納は困難であり、生検結果は高分化型腺癌tub1(Group 5)であった。腹部造影CTでは左胃動脈下行枝を伴った約75mmの腫瘤が十二指腸下行脚まで脱出・嵌頓し、圧排による総胆管と主膵管の拡張を認めた。本症例は巨大ポリープ様に発育した早期胃癌が十二指腸に嵌頓し、ball valve syndromeを呈したと考えられ、開腹下に幽門側胃切除術(D1+、Roux-en-Y再建)を行い、最終的にML、Less、Type 1、75×48mm、tub1、pT1b、med、INFa、Ly0、v0、pN0(0/36)、pPM0、pDM0、pStageIAと診断された。術後は良好に経過し、術後30ヵ月経過現在も再発を認めていない。
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