発行日 2015年8月1日
Published Date 2015/8/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00393.2015339726
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21歳女。左乳房腫瘤を主訴とした。触診上は線維腺腫などの良性腫瘍が疑われた。乳腺超音波所見では、左乳房CE領域に辺縁が不整な低エコー腫瘤(最大径6.0cm大)を認め、周辺脂肪織への浸潤を疑わせる高エコー帯を伴っていた。MRI T2強調矢状断像では線維性瘢痕を疑わせる星芒状の陰影を認め、積極的に悪性を示す所見はなかったが、確定診断の目的で摘出生検を行ったところ、腫瘍の中心部は増殖した膠原線維と紡錘形細胞からなり、細胞異型や核分裂像は認めなかった。また、免疫染色では紡錘形細胞の核内にβカテニン蛋白陽性像を認め、Ki-67、CD34陰性より乳腺線維腫症と診断した。術後経過は良好で乳房の整容性は保たれており、切除後2年6ヵ月経過現在も再発の徴候は認めていない。
©Nankodo Co., Ltd., 2015