発行日 2002年7月1日
Published Date 2002/7/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00393.2003005153
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胃内の腫瘍や粘膜が十二指腸内に嵌頓し腹痛,嘔吐,腹部膨満をきたす例をball valve syndromeと命名している.症例は66歳男.胃十二指腸造影で,十二指腸球部前壁に,前庭部から連続する,最大径30mmのカリフラワー状の腫瘤陰影を認めた.胃内視鏡所見で,広基性のI型腫瘍が十二指腸球部に嵌頓していた.スコープを十二指腸に挿入し,緩徐に球部から引き抜くと,腫瘤は胃内へ還納した.生検の結果,乳頭状腺癌であった.以上より,粘膜下層浸潤を伴うI型早期胃癌と診断し,D2郭清を伴う幽門側胃切除術を施行した.腫瘍はpapillary adenocarcinomaで,粘膜筋板より1mmの深さまで浸潤していた.リンパ管及び静脈侵襲は認めなかった.術後経過は良好で,第15病日に退院した
©Nankodo Co., Ltd., 2002