発行日 2012年2月1日
Published Date 2012/2/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00393.2012159385
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78歳女。右乳房腫瘤を自覚し近医にて乳癌が疑われ受診となった。右乳房E領域に約3cm大の弾性硬な腫瘤を触知した。マンモグラフィで右乳房にスピクラを伴う高濃度腫瘤を認め、カテゴリー5と診断された。乳腺超音波では、右乳房E領域に30×25mm大の辺縁不整な低エコー腫瘤を認めた。穿刺吸引細胞診でシート状配列を示す異型細胞集塊が認められ、乳管癌との診断を得た。FDG-PETでは、右乳腺にSUVmax8.5のFDG集積を認め、さらに膵尾部にSUV8.0のFDG集積を認めた。造影腹部CTでは、膵尾部に造影効果の乏しい充実性腫瘤を認めた。以上より、乳癌と膵尾部癌の同時性重複癌と診断し、一期的に右胸筋温存乳房切除術を施行した。センチネルリンパ節生検陽性に対しては右腋窩リンパ節郭清を行い、膵尾部癌に対しては膵体尾部・脾合併切除術と横行結腸部分切除を行った。病理所見では乳癌は充実腺管癌でT2N1M0、StageIIbで、ホルモン受容体はER、PRとも陰性であった。膵腫瘍は浸潤性膵管癌で脾動・静脈、横行結腸に浸潤しておりpT4(脾動・静脈、横行結腸)、pS+、pRP+、pN0、M0、R0、StageIVaであった。膵癌に対する補助療法としてgemcitabine投与を行ったが、肝転移をきたし、術後2年経過して担癌生存中である。
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