発行日 2010年1月1日
Published Date 2010/1/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00974.2010082297
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症例は76歳女性で左上腹部痛を主訴に近医に入院となり、CT上不均一に造影される著明な脾腫・肝腫大と高カルシウム血症も認め、悪性リンパ腫を疑われ紹介転院となった。入院後の造影CTでは脾臓が著明に腫大、造影早期に内部に不均一な増強効果を認め、また肝腫大と肝S1に結節性病変も認めた。脾臓原発悪性リンパ腫を疑ったが、全身状態悪化のため脾臓摘出は困難なため診断的治療としてprednisolone(PSL)50mg/dayによる治療を開始した。PSL開始後、脾腫は軽度縮小し左上腹部痛も消失、黄疸、高カルシウム血症とそれに伴う意識障害も著明に改善した。2ヵ月後脾臓摘出術を施行、摘出標本の病理組織学的所見と骨髄生検所見から血管肉腫の骨髄転移と診断した。術後全身検索ではCT上肋骨・腸骨・骨盤骨に多発する骨腫瘤を認め、術後PSL40mg/dayの継続で一時退院となったが、原病の増悪に伴い胸水貯留をきたし徐々に全身状態が悪化し、術後81病日に死亡した。
©Nankodo Co., Ltd., 2010